長崎魚市場の役割

日本人の食生活 

わたしたちの住む日本列島は、回りを海で囲まれ、北から南まで細長い地形で起伏が複雑な国土です。四季折々の変化に富み、地方ごとに気候風土や収穫される産物には特色があります。
 日本を囲む周辺水域は、南を流れる暖流(黒潮)と北からの寒流が交錯し、多くの魚介類の生息に適しており、漁獲される魚の種類は世界でも例を見ないといえます。
 日本人の食生活は、このように海洋資源の恩恵に沿し、昔から魚介類がその中心となってきました。現在では世界有数の水産国であり、また世界一の魚消費国でもあります。
 日本人の食生活に欠かせない魚介類が、わたしたちの手に届くまでにはいろいろな過程をたどります。そしてその過程の中で、魚市場は大変重要な役割を果たしています。


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世界の水産物漁獲高

 世界中で、一体どれだけの量の魚介類が漁獲され消費されているのでしょうか。
 日本の漁業は、国内生産だけでなく世界各国に漁業基地をもち、生産・加工・出荷まで一貫した機能を果たしており、世界の漁獲量には日本の漁業資本ウェイトが大きく貢献しています。世界全体から見た漁業生産量は近年増加傾向にあり、平成6年は1億1,743万トンでした。(漁獲量の1位は中国、2位がペルー、3位が日本)
 ところが平成7年度の日本全体の漁獲量をみると、日本近海や遠洋・沖合の漁場で獲れた魚介類は平成元年以降7年連続の減少となり、前年に比べても8%減少し、748万9,000トンでした。これに対して外国からの輸入水産物は前年に比べ9%増加して358万トン(金額にして1兆7,212億円)となり、輸入額では日本が1位で、世界全体の31%を示しています。
 このように、実に1,100万トンもの魚介類が日本だけで毎年消費されていることになります。このことは魚介類が日本国民の食生活に与える影響がいかに大きいかを示しており、またいかに魚好きの国民であるかということがうかがえます。


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卸売市場(魚市場)の役割

 今日、わたしたちの食卓には、海のもの・山のものなどが豊富に並びます。これらのものを容易に手に入れるための重要な役割を果たしているのが、※1卸売市場という地方公共団体等が設けた施設です。
 卸売市場とは、量が少なく手に入りにくいものや、値段が安定しない生鮮食料品などを、全国各地から集荷して、公正な値段で、しかもできるだけ早く新しいうちに消費者の家庭に供給するために、生産地と消費者をつなぐ流通の仲介をしているところです。
 この卸売市場は、全国に分散し、※2中央卸売市場と地方卸売市場とに区別されており、主に地方公共団体のほか、漁業協同組合・民間企業などによって運営されています。
 現在、水産物のみを扱う市場だけでも全国で700ヶ所を超える数となっています。

※1【卸売市場】
生鮮食料品等の卸売のため開設される市場であって、卸売場、自動車駐車場、その他、生鮮食料品等の取引及び荷さばきに必要な施設を設けて、継続して開場されるものをいう。

※2【中央卸売市場】
生鮮食料品等の流通及び消費上、特に重要な都市及びその周辺の地域における生鮮食料品等の円滑な流通を確保するための生鮮食料品等の卸売の中核的拠点となるとともに、当該地域外の広域にわたる生鮮食料品等の流通の改善にも資するものとして、市場法第8条の規定により、農林水産大臣の認可を受けて開設される卸売市場である。


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長崎魚市場の役割と関連業務

  • 目的
     長崎魚市場は、わたしたちの日常生活に、1日たりとも欠かすことのできない生鮮魚介類を、長崎県内はもとより全国の家庭の台所に供給する役割をもつ公設の地方卸売市場で、次のような目的で業務を行っています。
      1.多種、大量の魚介類を能率的、衛生的に集荷し、仕分けして消費者へ供給すること。
      2.継続的に、しかも安定的な販売ルートを確保すること。
      3.公正な取引による、適正な価格の設定を行うこと。
      4.明確な信用決済による取引の円滑化を図ること。
  • 魚市場関係者の役割
      
    長崎魚市場の機構
  • 長崎魚市(株)の業務
      →
    長崎魚市(株)

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長崎魚市場での水揚げ

  • 以西底曳網漁業
     
    漁獲物は函詰めされ、船倉に保管保冷して魚市場に運ばれます。運搬船または本船から岸壁までは漁船員及び船内荷役作業員によって陸揚げされます。荷さばき所では水洗、施氷し、直送物と地元売りの分荷、配列までの作業を、荷主立会のもとで陸上荷役会社の作業員が行っています。セリ後は買い受けた仲卸業者がそれぞれの品物を搬出しています。
  • 旋網漁業
     
    漁獲物はそのまま船倉に氷蔵され魚市場に運ばれます。運搬船からの水揚荷役は漁船員が行い、選別台に陸揚げします。ここで魚種別またはサイズ別に分けて函詰めされます。選別作業と函詰めは選別組合の女性(選別婦)が行っています。検量から施氷、売場配列までは卸売業者の職員が行っています。セリ後は買い受けた仲卸業者が施氷して地元売り、県外発送用として分荷され卸売場から搬出されます。
  • 近海物
     遠洋、沖合、沿岸の漁獲物は函詰め、あるいは船倉に魚を生かして、魚市場に運びます。函物・台物(活漁)の水揚荷役、検量及び売場配列、そしてセリまでの作業は卸売業者の職員(一部の作業は臨時作業員)が行います。セリ後は買い受けた仲卸業者が発送用・地元売用にそれぞれ分荷して卸売場から搬出しています。
  • その他
     運搬保冷車等による魚の搬入は、卸売業者の職員が売場に配列しセリにかけます。ほとんどが函詰めの魚であり、セリ後は買い受けた仲卸業者が卸売場から搬出していきます。

長崎魚市冷凍工場


 

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